カントリー・ガールズを忘れたくない -推しは推せるときに推しておけ-

2019年10月18日、カントリー・ガールズの活動休止、そしてメンバーの卒業が発表され、事実上のグループの「崩壊」が伝えられた。


カントリー・ガールズの変遷は今までも数々のメンバーが加入、そして卒業や脱退をしたハロープロジェクトのなかでも稀に見る衝撃的なケースである。



2014年、嗣永桃子をPMに置き、研修生よりも一般オーデ組が多かったカントリー・ガールズは結成当初を見ていた私からすると、同時期に結成されたこぶしファクトリーつばきファクトリー(New Fes!組)と比べてかなり“優遇“を感じざるを得ない状況であった。

それに加えて、世に言う「うたちゃんフィーバー」で旋風を起こし、一躍若手最注目アイドルグループへと躍り出たのだ。
このフィーバーもあってか予定よりも早めてのCDデビューによりかなりの勢いがあった。


しかしながら、そのフィーバーの中にいた島村嬉唄の契約解除で一気にその勢いが落ちた。
彼女は一般オーデ組であり、あのももちに着いていくのに必死ながらも持ち前のビジュアルとトークの切り返しで人気を博していたが、Berryz工房のラストコンサートという大事な時期に事務所と揉めてやめてしまった。

10代のアイドルは自分の意思とは関係なく、突然やめてしまうことがある。


これは私がハロヲタになってから知ったことだ。アイドルは普段の生活や苦労をヲタクには見せない。しかしながらその幼い彼女たちのOFFの部分を支えているのは紛れもなく家族や保護者である。

昔のようにアイドルになって生活を支えるという時代はとうにすぎ、今はお金を払ってアイドルにさせてもらう時代なのだ。



この認識ができない家庭では、続けることができないのであろう。



まさに「推しは推せるときに推しておけ」ということなのだと、この事件で痛感した。




とはいえ、そのセンターの可愛い子がいなくなったカントリー・ガールズに2015年に新しい風を吹かせた新たな台風の目、梁川奈々美船木結のやなふなコンビが加入した。


私は個人的に船木結を応援していた身であったが、この加入が発表されたときは疑問を呈していた。
カントリー・ガールズには、平均身長が小さくて一般加入の子達が初々しい表情でかわいく歌って踊るイメージがあったのに対し、船木結は身体は小さくてもハスキーでパワフルな歌が持ち味だった。
当然、研修生ヲタク内では娘。への加入が期待されていたのだ。
一方、梁川奈々美は、研修生になった当初から真面目な優等生で喋りも達者。恐らく嗣永桃子に一番近しい雰囲気を持った女の子という印象を持っていた。



結果から言うと、この加入はどこからどうみても成功であったと思う。
あどけなさがウケたうたちゃんと対称的にプロ感が漂う「やなふな」は、うたちゃんショックで傷心中のヲタクたちにも受け入れられるスピードは早かったように感じている。



そんななか2016年に上演された舞台「気絶するほど愛してる!」で突如メインにいた稲場愛香の降板により公演中止が発表され、その年に卒業が発表された。


特技であるダンスでみんなを引っ張り、持ち前のアイドル力ではももちに引けを取らない度胸と器用さが売りだった彼女がいなくなったことで、またもやカントリー・ガールズに危機が訪れた。


それと同時に稲場愛香のヲタクは突然活動休止し卒業していった喪失感は察するに余りあるだろう。
あのときの握手会が結果的に最後のイベントになった……なんて人もいただろう。
ここでも私たちは「推せるときに推しておかないと」と強く思ったのである。

(彼女は復帰後にJuice=Juiceに加入し、現在まで活動しているが、これについてもなぜJuice=Juiceに加入なのか、カントリーに戻せないのかなど数々の批判がなされている。)




そして、2017年6月30日。PMである嗣永桃子が卒業し、カントリー・ガールズにある新体制が発表される。今回の活動休止もこれが原因と言われても仕方がないであろう。
森戸知沙希モーニング娘。'17
梁川奈々美はJuice=Juice
船木結アンジュルム
山木梨沙と小関舞は学業専念
として兼任活動という形でカントリー・ガールズは事実上の活動縮小に追い込まれたのだ。


この兼任制度が始まって、カントリー・ガールズは配信曲のみでCDを出さなくなった。
当然リリースイベントはなく、ハロコンでも衣装は兼任先のものを着用し、単独ライブも年に数えるほどに。

推すアイドルはいても推せる場所を奪われたのだ。



2019年、兼任組の他2人が兼任先でも徐々に馴染んできたように思えた矢先、梁川奈々美が学業専念を理由に両グループ卒業、芸能界を引退することが発表された。

叙々に馴染んできたと言われていたものの、梁川奈々美だけはヲタク間で浮いているという指摘や体型が不安定になってきており心配の声は上がっていた。
ヲタクの予想が悪いほうに当たってしまった。



当然「やなふな」コンビとしてカントリーで一緒に支え合ってきた船木結にはかなりの動揺があったであろう。

卒業が発表された際のブログ↓

やなみん 船木結 | カントリー・ガールズオフィシャルブログ Powered by Ameba

今はやなみんのいない活動が想像出来ないし
やなみんが卒業してしまったら
見えない何かが無くなりそうで不安もあります、、



でも、やなみんの卒業は
私が考えているよりも大きくて固い意思で
なぜか悔しいですね。笑

兼任活動だけが彼女の負担になったのかは分かりかねるし、今後語られることはないだろうが、ヲタクからすると悪いタイミングが重なってしまったように思えた。

私は、梁川奈々美卒業コンサートで流した船木結の涙を一生忘れることはできないし、忘れたくない。

唯一の救いは「やなふな」のイベントを卒業前に開催できたことであると思うし、すごく素敵に送り出すことができたことである。

しかしながら、10代での卒業である。短いアイドル人生だったことには変わりがない。推す期間は極々僅かだったと感じる人も少なくないだろう。彼女は優秀でこれからの展望を夢見たヲタクも大勢いたと思う。
やはり後悔が残る。





こんなに様々な大人の事情に揉まれた彼女たちカントリー・ガールズも今年でついに活動休止を選んでしまった。いや、選ばざるを得なかったのだろう。このまま活動していたとしてもカントリー・ガールズとしての再出発の兆しはなかったのだから。


船木結は卒業後芸能活動休止を選んだ。
素人のまま未来少女オーディションを受け不合格、研修生で目覚ましい成長を遂げ、見事デビューした彼女。
研修生になったばかりのとき披露された「ROCKエロティック」(Berryz工房カバー曲)は新人とは思えないパフォーマンスで今でも語り継がれる伝説になっている。
絶対にこの子はデビューし、活躍するだろうと思わせてくれる強さがあった。
実際、デビュー後にはおはスタおはガールを務め、ライブなどのアイドル活動以外にテレビの仕事と多忙の日々が続いた。
ヲタクとしては、しっかり休んで戻ってきて欲しいというのが一番であるが、彼女の人生は大人の事情で消費されてしまったのかもしれないと心配が絶えない。
幼い時期をアイドルとして過ごし、青春を捧げてきた彼女たちの今後がどうなるのか私たちにはわからないのだ。


カントリー・ガールズはこれからみんなバラバラになり別の道を歩んでいく。心から彼女たちの人生が幸せであることを願う。

私は彼女たちが歩んできた、置かれていた状況を忘れずにこれからもハロープロジェクトのアイドルを応援していきたい。


今の推しは今しかいないんだ。
今推さなくてどうするんだ。